AIパーソナルトレーナー。スマホに話しかけるだけで今日のメニューが出てくる。会話型のAIに筋トレの計画を頼む人も増えています。では、AIは人のトレーナーの代わりになるのでしょうか。
この記事では、AIトレーナーでよく言われる6つのことを研究で一つずつ確かめ、○ ほぼ本当/△ 条件つき/× 言いすぎ で判定します。AIへの頼み方の例、はじめの4週間の組み立て方、人との使い分けもまとめました。
はじめにお伝えしておくと、この記事を書いている Middles は、AI がトレーニングや食事を提案するアプリを作っています。作っている側だからこそ、できることも、できないことも、研究の結果のままお伝えします。この記事は一般的な情報です。持病のある方などは、最後の「気をつけること」もあわせて読んでください。
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1. 先に結論:6つの判定
| よく言われること | 判定 | ひとことで |
|---|---|---|
| ① AIトレーナーは、人の代わりになる | △ | 下書きと調整はAIが手伝える。見守りは半分くらい。フォームと異変は、人と自分で |
| ② ChatGPTに頼めば、ちゃんとしたメニューができる | △ | 下書きとしては使える。条件を詳しく伝え、そのままは使わない |
| ③ AIは、体のことまで考えてくれる | △ | だいたい正しいが、抜けが多い。伝えたことしか分からない |
| ④ スマホのカメラで、フォームを直してくれる | △ | 技術はある。でも置き方しだいで、間違いを見逃しやすい |
| ⑤ 人に見てもらうと、筋力は伸びやすい | ○ | そういう傾向がある。研究はまだ少ない |
| ⑥ アプリがあれば、運動は続く | × | 最初の1か月で大きく減る。「楽しい」人ほど続く傾向 |
2. 日本人と運動
国の調査で「運動習慣のある人」(1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上)は、令和5年で男性36.2%、女性28.6%でした[1]。とくに働く世代で少なく、女性は20代14.5%、30代16.9%、40代17.9%と、6〜7人に1人。男性も30代は23.5%です。忙しい世代ほど、運動の時間をとりにくいのかもしれません。
国の、大人の目安は次のとおりです[2]。
座りっぱなしの時間が長くなりすぎないことも大事とされています。この中で「何をすればいいか分からない」と言われやすいのが筋トレ。そこで、人のトレーナーやAIに頼りたくなるわけです。
3. トレーナーの5つの仕事と、AIのしくみ
人のパーソナルトレーナーの仕事は、大きく5つに分けられます。
| トレーナーの仕事 | AI | ひとこと |
|---|---|---|
| ① メニューを決める | ○ | 下書きは速い。夜遅くでも、出張先でも |
| ② その日の体に合わせて変える | ○ | 伝えた情報の範囲で |
| ④ 続けられるよう見守る | △ | 記録とひと声はできる。続くかどうかは別(判定⑥) |
| ③ フォームを見て直す | △ | 多くのAIは、動きを目で見ていない(判定④) |
| ⑤ 体の異変に気づいて止める | × | 顔色も、息づかいも見ていない |
AIトレーナーの流れは「入力(目標・経験・道具・時間・今日の調子)→ 判断(決められたルールと学んだ知識)→ 提案(今日のメニュー)」です。何でも聞ける会話型のAIと、決まった項目を選んで記録とつながるトレーニング用のアプリがありますが、どちらにも共通するのは AIが分かるのは、伝えたことだけ という点です。
ただし:痛みがあるときは、AIに合わせてもらって続けるのではなく、その日はお休みにしてください。また、会話型のAIは、もっともらしい言い方で間違えることがあります。体に関わることは、とくに確かめながら使いましょう。
4. 判定① AIトレーナーは、人の代わりになる? → △
5つの仕事のうち、メニューの下書きと、その日の調整は、AIがかなり手伝えます。見守りは半分くらい。フォームと体の異変は、人と自分自身で見る必要があります。いつでも頼める、食事やケアの記録とつなげやすい、人に言いにくいことも書きやすい(どこまで書くかは自分で決めておくと安心)、といったAIならではの良さもあります。
5. 判定② ChatGPTに頼めば、ちゃんとしたメニューができる? → △
AIは上手になってきています。ただ、古い版では重さと回数の組み合わせが現実的でないところがあり、どの版にも「やった記録に合わせた進め方がない」「危ないかもしれない種目の代わりが示されていない」という穴がありました[6]。これらは架空の人の計画を専門家が読んで評価した研究で、実際に人が試した結果ではなく、評価者も少なく、AIはどんどん新しくなっています。下書きとしては十分使えます。条件を詳しく伝え、そのまま使わずに自分の体で確かめること。必要なら専門家にも見てもらいましょう。
6. 判定③ AIは、体のことまで考えてくれる? → △
2024年の研究では、2023年当時のChatGPTに、持病のある人や妊娠中の人など26のグループについて運動の勧めを聞き、米国のスポーツ医学の学会の指針とくらべました[7]。
抜けやすかったのは、量・頻度・時間・強度。間違いの半分以上(15件中8件)は、意外にも「運動の前に医師の許可が必要」と言いすぎる、慎重すぎる方向でした。指針では、症状がなく持病もない人なら、軽い〜中くらいの運動は医師の許可がなくても始めてよい、とされています。言っていることはだいたい合っているが、抜けが多い。そしてAIが分かるのは伝えたことだけです。持病や体に不安がある方は、AIの答えだけで決めずに、医師や専門家と一緒に決めてください。
7. 判定④ スマホのカメラで、フォームを直してくれる? → △
2021年の研究では、20〜35歳の30人に、スクワットの指導をAIアプリと理学療法士に分けて受けてもらいました[8]。AIは正しいスクワットはよく見分けましたが、間違ったスクワットを見つけるのは苦手でした。練習のあと、正しいスクワットのほうが多くできた人は、理学療法士のグループで60%、AIのグループで27%(人数が少なく、差ははっきりとは言えません)。スクワットの良し悪しは、専門家どうしでも意見が分かれやすいものでした。
2026年の研究では、スマホの置き方を12通り変えて、回数をどれだけ正しく数えられるかを調べました[9]。スクワットは斜め前2mで95.5%、横から90cmでは0%。置き方ひとつで大きく変わります(回数の精度で、フォームの良し悪しではありません)。
- はじめての種目は、軽い重さか自分の体重で、ゆっくり動きを覚える
- 重いものを持ち上げる種目は、一度は人に見てもらう
- 鏡や、自分の動きの動画で確かめる
8. 判定⑤ 人に見てもらうと、筋力は伸びやすい? → ○
筋トレを人の指導ありとなしでくらべた12の研究(約580人)をまとめた2022年の分析では、筋力は指導ありのほうが伸びやすいという結果でした[10]。差の大きさは平均すると中くらいですが、幅が広く、小さな差にとどまる可能性もあります。体の組成(筋肉や脂肪の割合)にはほとんど差がなく、まとめた人たち自身も「探索的な分析」としています。重さを上げるタイミングの判断、その場でのフォームの修正、予約があるから休まず行く、といったことが理由として考えられますが、この分析で確かめたわけではありません。言えるのは、そういう傾向がある、というところまでです。
9. 判定⑥ アプリがあれば、運動は続く? → ×
2026年に発表された研究で、ある運動アプリの利用者2,771人の記録を調べたものがあります(記録は2021年まで)[11]。利用者全員の記録を合わせた1週間のトレーニングの回数は、登録した最初の週から、1か月後には69%、3か月後には81%減っていました(途中で使わなくなった人も含めた合計の数字です)。予定に対して実際にできた割合は平均54%。楽しい・やりたいという気持ちが強い人ほど、長く続いている傾向がありました(関係は強くありません)。アプリは続けるきっかけにはなり得ますが、アプリがあるだけで続く、とは言えません。
- 最初の1か月は、少なめに決める(週2回・1回15分からでも)
- やる曜日と時間を、先に決めておく
- できない日があっても取り返そうとせず、次の1回だけを考える
- 自分が楽しいと思える種目や場所を選ぶ
10. AIに筋トレメニューを頼むときの5つのコツ
研究で「条件を詳しく伝えるほど良くなる」と分かっています。伝えたいのは、①目的(筋力・体力・姿勢など)②経験 ③場所と道具 ④時間と回数 ⑤体の状態(寝不足・疲れなど)の5つです。持病がある方、妊娠中の方、痛みが続いている方は、AIに頼む前にまず医師に相談を。AIには、医師と決めた範囲でメニューを頼んでください。
頼み方の例:「筋トレは初めての40代です。家で、道具なし、週2回・1回20分。座っている時間が長い仕事です。12週間のメニューを、軽い内容から作ってください。重さや回数の進め方と、負担の大きい種目の代わり、それから、中止したほうがいいサインも書いてください。」
最後の一文は、研究で抜けやすかった部分を先に頼んでおくためです。
出てきたメニューは、そのまま使わずに確かめます。筋トレは週2〜3日か、休みの日があるか、はじめは軽い内容か、「痛みが出たら中止」と書いてあるか(なければ自分で書き足す)。
11. はじめの4週間を、AIなしで考えてみる
AIの答えを確かめる物差しとして、筋トレの基本も知っておくと役に立ちます。
- 脚・お尻・胸・背中など、大きな筋肉から
- 余力を残して止める(はじめは「あと2〜3回できそう」で終えてOK)
- 同じ部位は1〜2日あける(国の目安も、毎日ではなく週2〜3日)
| 週 | 内容 |
|---|---|
| 1〜2週目 | いすから立ち上がる動き・壁に手をついた腕立て・あおむけでお尻を持ち上げる動きを、各10回前後×1〜2セット、週2回 |
| 3〜4週目 | 慣れてきたら、セットを1つ増やす(きつければ増やさなくて大丈夫) |
いすは、キャスターのないしっかりしたものを壁につけて使います。息を止めず、痛みのない範囲で、ゆっくり行ってください。
物足りないくらいでちょうどいい。最初の目標は、きつくすることではなく、習慣にすることです。AIの答えがこの基本から大きく外れていたら、いったん立ち止まって確かめてください。
12. AIと人の使い分け
人に見てもらうといいのは、はじめての種目と、重いものを持つ種目。持病やけがのあとは、まず医師に。そのうえで、医療と連携できる専門家に見てもらうと安心です。AIが向いているのは、毎日のメニューの下書き、その日の調整、そして記録です。はじめの数回だけ人に見てもらってフォームを覚え、そのあとのメニューはAIに下書きしてもらう。研究で確かめられた方法ではありませんが、そんな組み合わせも考えられます。
- 体重だけで評価されないか
- 痛みや体調を入力できるか
- 「必ずやせる」「必ず結果が出る」とうたっていないか(体の変わり方には個人差があります)
- 料金と解約の方法が分かりやすいか(無料期間があるなら、終わる日も確かめる)
13. よくある疑問
Q. 毎日、筋トレしてもいい? 同じ部位は1〜2日あけるのが基本です。歩くことやストレッチなど軽い運動なら毎日でも大丈夫。はじめは週2〜3日で十分です。
Q. 会話型のAIと、トレーニング用のアプリは何が違う? 大きな違いは記録です。会話型のAIは毎回条件を伝え直す必要があることが多く(記録を覚えておける機能があるものも)、アプリは記録がたまるので前回からの続きで提案しやすくなります。どちらがいいかは人によります。料金より、続けやすさと、体調を伝えやすいかで選ぶのも一つの方法です。
Q. 何歳からでも始められる? 国のガイドでは、高齢の方にも、バランスなどをきたえる運動とあわせて筋トレを週2〜3日すすめています[2]。持病がある方や体に不安がある方は、始める前に医師に相談を。転ばないよう、いすや壁を使う動きから始めると安心です。
14. 気をつけること
中止のサイン:関節の痛み、めまい、動悸があったら、AIの提案が何であっても、その日は中止してください。胸の痛みや息苦しさ、意識が遠のく感じがあるときはすぐにやめ、続くときは迷わず119番を。2〜3日でおさまる筋肉痛はよくあることですが、関節の痛みや続く痛み・はれがあるときは受診してください。
始める前に医師に相談したい方:持病のある方、妊娠中・産後の方(医師や助産師に)、最近けがや手術をした方、高齢で体力や体調に不安がある方、運動の習慣がなく体調に不安がある方。未成年の方は保護者の方と一緒に決めてください。相談は、運動をやめるためではなく、安心して始めるためのものです。運動は、やればやるほどいいわけではありません。休みの日も、体をつくる大切な時間です。
15. まとめ
- AIトレーナーは人の代わりになる、は△。メニューの下書きとその日の調整は、かなり手伝える
- ChatGPTに頼めばちゃんとしたメニューができる、も△。下書きとして使い、条件を詳しく
- AIは体のことまで考えてくれる、も△。だいたい正しいけれど、抜けが多い
- スマホのカメラでフォームを直してくれる、も△。置き方しだいで、間違いを見逃しやすい
- 人に見てもらうと筋力は伸びやすい、は○。研究はまだ少ないが、その傾向がある
- アプリがあれば運動は続く、は×。楽しいと思える人ほど、長く続いている傾向
AIは、メニューの下書きと、その日の調整が得意です。フォームと体の異変は、人と自分自身で見る。そして、楽しいと思えることは、続けるための大事な手がかりです。自分に合う組み合わせで、無理なく体を動かしていきましょう。
今日のトレーニングを、AI が提案。FIT LOGIC
FIT LOGIC は、必要な項目を入力するだけで、AI が今日の食事・トレーニング・ケアを提案するアプリです。
- その日の体調で強度を選べるトレーニング提案
- 種目ごとの動きのイラストとコツ(あなたのフォームを見て直す機能ではありません)
- 極端な制限は提案しない設計
アプリの提案は、医療のアドバイスではありません。痛みや体調に不安があるときは、無理をせず医師に相談してください。
はじめての方は 3 日間無料です。その後は月額 ¥1,680/年額 ¥16,800(税込・自動更新)。無料期間が終わる 24 時間前までに iPhone の設定から解約すれば、料金はかかりません。
あわせて読みたい:AIダイエットのやり方|ChatGPTと専用アプリの違い
出典
[1]厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」
[2]厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
[3]Washif JA, et al. Artificial intelligence in sport: Exploring the potential of using ChatGPT in resistance training prescription. Biol Sport. 2024;41(2):209-220.
[4]Havers T, et al. Reproducibility and quality of hypertrophy-related training plans generated by GPT-4 and Google Gemini as evaluated by coaching experts. Biol Sport. 2025;42(2):289-329.
[5]Havers T, et al. A professional assessment of training plans for muscle hypertrophy and maximal strength developed by generative artificial intelligence. Biol Sport. 2025;42(4):353-380.
[6]Genç A, et al. Comparative evaluation of ChatGPT versions in training program design. BMC Sports Sci Med Rehabil. 2026;18:19.
[7]Zaleski AL, et al. Comprehensiveness, Accuracy, and Readability of Exercise Recommendations Provided by an AI-Based Chatbot. JMIR Med Educ. 2024;10:e51308.
[8]Luna A, et al. Artificial intelligence application versus physical therapist for squat evaluation: a randomized controlled trial. Sci Rep. 2021;11:18109.
[9]Oliosi E, et al. Evaluation of Smartphone Camera Positioning on Artificial Intelligence Pose Estimation Accuracy for Exercise Detection. JMIR Mhealth Uhealth. 2026;14:e82412.
[10]The Role of Supervision in Resistance Training; an Exploratory Systematic Review and Meta-Analysis. Int J Strength Cond. 2022.
[11]Fuente-Vidal A, et al. Analysis of Training Behavior in Users of a Fitness App: Cross-Sectional Study. JMIR Mhealth Uhealth. 2026;14:e72201.
※この記事は一般的な情報で、診断や治療を目的としたものではありません。観察研究・横断研究の結果は「傾向」「関係」で、原因と結果を示すものではありません。




